Dearダニー 君へのうた
レンタルDVDのあらすじを読んで、
面白そうだったので借りてみました。
とは言え、レンタルDVDのあらすじだけで当たりだった作品は
あんまりありません。
その中でも、この作品は期待値を越えて面白かったです。
ジョン・レノンが新人アーティストに宛てた励ましの手紙が、
数十年を経て本人に届いたという実話から着想を得たドラマ。
作曲活動から離れて何年もたち、
人気アーティストとしての盛りも過ぎてしまったダニー・コリンズ。
そんなある日、マネージャーから古い手紙を見つけたと渡される。
それは駆け出しだった43年前の自分にジョン・レノンが送ってくれたもので、
富や名声に自分を見失わず、音楽と真摯に向き合うようにとつづられていた。
それを読んだ彼は人生をやり直そうと決意してツアーをキャンセルし、
一度も会ったことのない息子を訪ねる。
(2015年・アメリカ)
最初に「少しだけ真実に基づいた話」みたいな事が表記されるのですが、
実際、とあるフォークミュージシャンに
ジョン・レノンが手紙を出していたのが
30~40年後に見つかったそうです。
その手紙を受け取ったミュージシャンはエンドロールに登場するので、
「ああ、実際そういう事があったんだなぁ」と感慨深くなります。
実在のそのミュージシャンをモデルにしているわけではないので、
あしからず。
アル・パチーノ演じる主人公ダニーは、
ジョン・レノンを崇拝していた大物ミュージシャン。
それが、ジョン・レノンの手紙の存在を知ってから
今までの人生を思い返すわけですが。
大成したミュージシャンが
「今までの40年を無駄にした」と言う感覚は全く分かりませんが、
「もしその時にその手紙を受け取っていたら」と考えると
やっぱり違う自分がいたのかもしれない。
もしかしたら誰にでも、そういう「もしも」があったかもしれない、
と思い巡らせてみるだけで、不思議な感じがします。
自分の今までの人生、会った事のない息子とその家族、
様々な姿の悩み…。
それぞれに背負ったものがあり、
それは「何が普通」であったり
「何だから幸せ」と言った決まりきった基準なんてない、
と言う事を考えさせられます。
そして“もし”なんてものは、存在しないのかもしれない。
いつだって人間はどうしたら良いのかは分からないし、
最良な選択なんてない、
ただ選んだその道を生きるだけなのだから。
ちょっと、そんな考えに耽ってしまいました。
勿論「ジョン・レノンから自分に当てられた手紙が存在した」
なんて事が自分にあったら(私の場合は時系列的にあり得ませんが)、
「もしもあの時に…」と考えて当然だとは思いますが。
また、今までアル・パチーノの映画をちゃんと観た事がありませんでしたが、
流石大御所、一つ一つの表情がとても素晴らしいです。
見応え、聴き応えのある映画でした。