SHIINBLOG

Liva's anything about...?

都内で活動中の本格派アコースティックユニットLivaealのブログです♪

ニューウェーブのギターサウンド後編:実践!

 

どもdeeです。

 

最近、ずっと通ってなかった80年代の音楽について色々調べています。


よく知ったバンドのルーツも「この辺なのかな?」と改めて

色々知るところがあります。

 

当時を知らない自分がギタリスト視点で
前後編に分けてニュー・ウェーブサウンドについてまとめてみます。
前編はこちら。

livaeal.hatenablog.com

 

■80年代のギタリスト事情

①機材の進歩

 70年代から使われてきた機材が洗練されて使いやすく進歩し

 さらに半導体技術の向上によってデジタル技術も普及してきました。

 録音では今までよい安価でマルチトラックを使用することが

 できるようになり、シンセやサンプラー、シンセベースや

 エレクトリックドラムなどのデジタル楽器の発展で

 録音の仕方もラインで録音する方法など新しいテクニックが産まれました。

 カセットテープ→CDと音楽を聴く媒体も発展していき

 サウンド自体が70年代よりHifi化してきました。

 それにより過去より凝ったトリックをつかって音源は作成されていきます。

 

 それをライブにて再現しようとすることで

 スタジオ機材をそのままライブに持ち込むギタリストが増えました。

 高価な機材を冷蔵庫大のラックに積んでライブをするのが

 プロっぽいと認識されていた時期でした。

 デジタルの恩恵を最も受けたエフェクターはディレイ系だと思います。

 今まで不可能だった長いタイムのディレイをフィードバックできるようになり、

 さらにミリ単位までディレイタイムを指定できるようになりました。

 さらにそれをプログラムして複数のパッチを呼び出したり

 ディレイの発展に伴いピッチシフターなどのバリエーションエフェクター

 開発されました。

 

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U2エッジのアンプとエフェクターラック。

 アンプは5台用意され22Uのラックが2列、その上にコンパクトエフェクター

 スイッチングされている。

 

Roland JC-120

 本来ローファイなギタートーンにもサウンドのHifi化の波が押し寄せます。

 ギターアンプといえば基本的に真空管アンプなのですが

 80年代に日本メーカーのトランジスタアンプ、Roland JC-120が

 ニューウェーブ系のギタリストには多く採用されました。

 今更ギタリストならJC-120を使ったことがないって人のほうが少ないかな…。

 JCとはジャズ コーラスの略でジャスコなんて巷では呼ばれてます。

 その名の通りジャズをターゲットにしたクリアなサウンドで

 コーラスエフェクトを標準装備していることが特徴です。

 そのため極力歪みを抑える設計になっており今でもアンプ付属の

 歪みは使えないことで有名!?です。

 しかしニューウェーブにはHifiでクリアなサウンドがハマりました。

 インサートしたエフェクトの効果も明瞭に出力されます。

 (実際には真空管アンプも使われています)

 

・・・長くなりましたが、80年代のサウンドに重要なのは

 「ディレイ/コーラス」というエフェクター

 乱暴な言い方をすればこの二つでかなり当時っぽいサウンドになります。

 

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The Jamポール・ウェラーの右にはRoland JCが。

 そうでもいいですが、昔バンドメンバー募集で「JAMやります」って

 書いてある張り紙が多かったから「パンク流行ってるの?」って思ったら

 Judy and Maryの略称だった...みたいな(^_^;)

 

 

■んで、どうなのよ

 実際のところはどういうわけ?ってなところをイメージ用意しました。

 わかりやすいようにBossで統一してあります。各エフェクトはお好みで。

 繋ぎ順は右からと考えてください。

 

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①オーバードライブ

    ↓

②コンプレッサー(リミッター)

    ↓

③(ディストーション)

    ↓

④ピッチシフター

    ↓

⑤コーラス(フランジャー)

    ↓

⑥ディレイ 

 

①オーバードライブ

 メインの歪みは軽めのほうがいいです。

 クリーンに聴こえてもサウンドに元気を与える(音圧を上げる)ために

 少しだけ歪ませることがあります。

 アンプがツインリバーブなどだとアンプ側で少しだけ

 歪ましておくのもいいかもしれません。

 

②コンプレッサー(リミッター)

 ここでののコンプレッサーは「コンプがかかった音色」を狙って使用します。

 ダイナコンプのような如何にもギター用のコンプが望ましいですが

 キツメにかけると音も引っ込むことがあります。

 音が引っ込むと周りにサウンドが馴染みやすくなりますが

 ヌケを良くしたり、ギター存在感を上げたい場合は

 Attackがコントロールできる コンプを使用すると

 アタックを残し音の引っ込みを抑えることができます。

 

 またオーバードライブの後段に入れておくと

 軽く歪ませた暴れがちなトーンを落ち着けさせます。

 

③(ディストーション)

 ()付きなのは必要なら追加という意味をこめました。

 ここは曲に深い歪みが欲しい場合に使用します。

 

④ピッチシフター

 1オクターブ上をセットしコードやストロークアルペジオ

 弾くと12弦ギターのようなサウンドになります。

 XTCThe SmithsなどUK勢によく見られる使い方です。

 また、デチューン機能を使用するとコーラスの代用になります。

 通常のコーラスと少しニュアンスが変わりますので

 バリエーションに覚えておくといいと思います。

 

⑤コーラス(フランジャー)

 一番の肝であるコーラス。基本かけっぱなし。

 使い方はRateは遅め、Depthは変調しない程度に

 なるべく深めにセッティングしましよう。

 ステレオアウトがある機種ならディレイ後にかけても

 いいかもしれません。

 またコーラスの代わりにフランジャーを使用することも可能です。

 フランジャーの場合、コーラスよりアクの強いサウンドとなります。

 コーラス+ショートディレイのようなサウンドとなります。

 フランジャーは機種によってツマミのネーミングが多いのですが

 所謂フィードバックに相当するパラメータとRateは控えめに

 ディレイタイムに相当するところはショートディレイ感を

 感じられるところまでパラメータを上げます。

 フィードバックを上げるとジェットサウンドになってしまうので

 気をつけましょう。

 

⑥ディレイ

 ディレイの場合は複数のセッティングを使用するため

 プログラム可能なものだと便利です。

 ■スラップバックエコー

  ディレイタイムを20ms~40msでフィードバックを少し上げると

  レトロなエコーサウンドが得られます。

 ■ダブリング

  ディレイタイムを5ms~25msにしてフィードバックは0にします。

  ステレオ出力が可能ならば原音とディレイを別々に振って

  アンプのセッティングを変えても面白いです。ディレイ側は

  高音をおさえたEQにします。

  またマルチタップディレイならばLRで違ったティレイタイムにすると

  サウンドが広がります。

 ■テンポディレイ

  曲のテンポに合わせてディレイタイムを合わせます。

  ミュートした単音弾きで付点8分音符になるようなセッティングにすると

  ポリスやU2で聞けるようなサウンドオンサウンドを得られます。

  またジャラーンと白玉コードを弾くときに4分音符、8分音符に

  ディレイタイムをセッティングすると音が広がります。

  テンポを事前にプログラムしてもいいですし、タップで

  テンポ入力できる機種ならバンドの演奏に都度マッチしたプレイが可能です。

 

最後にギターについて。

クリーンなトーンだとストラトなどのシングルコイルのギターのほうが

有利そうですが、エフェクターをかけっぱなしにするサウンドだと

音が細くアタックが耳に痛いことがあります。

割とハムバッカーのギターのほうがクリーンが暴れないことが多いです。

また、エフェクターを多段で繋ぐ為、ノイズ対策として

アクティブP.Uを使用することが当時流行りました。

ただあまりニュー・ウェーブのギタリストでEMGを積極採用していた人は

いなかったと記憶してます。どちらかというと

アメリカのアーティストやLAのスタジオミュージシャンが積極利用していたでしょうか。

 

 

 

長くなりましたが、上記を実践してみたサウンドを実際に作ってみました。

ディレイのセッティングはフィードバックは0で

付点8分音符になるようにしています。

アンプ(シミュレーター)はJC120を使用してます。

 

昔は冷蔵庫のようなラックを組んでサウンド作りしていたようですが

今は半導体の発展のおかげでZoomやBossのような安価な

マルチがあれば一台でこのようなサウンドが作ることも可能です。

(ちなみにDeeのお勧めとしてはコーラス/ディレイはTC Electonicかなー)

 

動画のようなサウンドを出したい方は参考にどうぞー。

ではでは。