TINA
今週の「歌い手魂」でTina Turnerの事を紹介したので、
今回は彼女の半生を元に作られた『TINA』。
作品自体良かったのですが、
主演のアンジェラ・バセットの表情が特に印象的でした。
ティナ・ターナーの波乱に満ちた半生記。
テネシーの片田舎で親戚に預けられ育ったティナは父なし子。
ようやく母と妹と暮らせるようになったが、生活は貧しかった。
やがて旅回りのR&Bバンドに魅了され、
都会へ出た彼女は人気バンドのリーダー、アイクと結ばれる。
彼のギターと彼女の唄で大いに売り出したコンビは、
ロック・ミュージシャンに支持され、国際的にも成功を収めるが、
70年代に入って人気は下落。
アイクは酒に溺れ、日夜、彼女を傷つける…。
(1993年・アメリカ)
中には宗教的な要素が強いと感じる人もいるだろうけど、
そういう偏見は抜きにしてまず観てほしいです。
アイクから受けたダメージはとても大きかっただろうけど、
アイクという存在があってこその今のTina Turnerだと思えば、
ある意味では感謝に値するのかもしれない。
それだけ、彼女の残した功績は素晴らしいと思います。
とは言えど、暴力や心に及ぼす影響…。
「私が頑張れば彼は良くなる」と考えるのも分かるし。
どこに重きを感じるのか、それによるコンプレックスや
だからこそ生じてしまうわだかまりがどうしてこうも
上手く作用しないどころか悪循環を生みだしてしまう現実。
色んな点から考えさせられます。
自分が得たい名誉を女に持って行かれた男。
その男の望みに応えようとする女。
よく分かるし、哀しいまでに男と女の違いを感じざるを得ません。
私は特に信仰は持っていないけれど、
信仰は救いだと思っています。
Tina Turnerを救ったものが何であれ、
今の彼女を支え、残し、つくってくれたものなのだから、
やはりそれはあって然るべきだったんだと思います。
最後にはTina Turnerの歌唱も入っていて、
観応え、聴き応えのある作品です。