ストリート・オーケストラ
今週はオーケストラのお話を紹介します。
今回はブラジルのスラム街を舞台にした『ストリート・オーケストラ』。
思ったよりかなりシリアスで重い映画でした。
バイオリニストのラエルチはサンパウロ交響楽団の最終審査に落ちてしまい、
仕送りや家賃のためにスラム街の学校でバイオリンを教えることにする。
しかし教室は屋根もなく、生徒は意欲的なサムエルを除いて問題児ばかり。
ある日、ギャングに脅されたラエルチが見事な演奏で彼らを黙らせたことから、
生徒たちも音楽の力を実感し、熱心に取り組むようになるが…。
(2015年・ブラジル)
ブラジルに抱いていた陽気なイメージとは一転、
スラム街が抱える暗い闇を描いた作品です。
同じ「教育」でも、土地によってこんなに違うんだという
現実を突きつけられた感じがしました。
元々、教育が持つ前提すらお話にならない状態です。
暴力性や攻撃性といった衝動は、
何かしらの表現の糧として捉えることが出来れば
とても大きなパワーになります。
力の行き場を探している子ども達には、
そういう「何か」を与える場がとても大事だと感じました。
それにしても、生徒たちに何が響いて上達していったのか、
その一番大切なはずの描写がほとんどなくて残念でした。
周りの状況ばかり急に変わっていって、
いまいち感情移入できませんでした。
主人公のラエルチが奏でる演奏の繊細な音と、
現実社会とのギャップはとても良かったです。
特にラエルチのヴァイオリンの音は、清らかで美しかったです。