メモリー

メモリー
この町が持つ匂いは　感覚を研ぎ澄ませる
歩く度に聞こえる音も　柔らかく降り注ぐ
何度も交差して　触れ合えず終わった恋も
何度もぶつかって　涙に溺れた夜も

雨に滲む紫陽花の
鮮やかな歌声を聴いて
行き場を見つけた涙たちも
まるでリズムになる

漂う魂を抱いて
思い出す優しさに触れる
あなたはもういないけど
いつだってここにいる
会えるような気がする
生き続けている　メモリー

あなたの温もりはいつも　この目には映らなくても
心に宿り続ける　生きて行く力になる

陽が沈む水平線が
きらめきを奏でて揺れて
行き交う汽笛が時を刻み
いつしか夜を運ぶ

もしあなたとまた会えるとしたなら
どんな私でいれる？

放たれた空は注いで
抱きしめる愛を感じる
あなたの形は消え去っても
確かにここに在った

漂う魂を招いて
蘇る優しさが包む
あなたはもういないけど
いつだってここにいる
胸に灯る光が
照らしている　メモリー