ブルーに生まれついて
今週は実存したジャズプレーヤーをモデルにして作られた映画を紹介します。
今日はトランペット奏者、シンガーとして著名なチェット・ベイカーの伝記映画、
『ブルーに生まれついて』。
主演のイーサン・ホークが約半年間集中トレーニングしたという
トランペットの演奏も見どころ。
1950年代、黒人のアーティストたちが中心だったモダンジャズ界へと飛び込んだ、
優しい歌声と甘いマスクで人気を博した彼は、
「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」などの名曲を放つ。
しかし、ドラッグに溺れて破滅的な生活を送るようになる。
そんな中、自身の人生を追い掛けた映画への出演を機にある女性と遭遇。
彼女を支えにして、再起を図ろうとする彼だったが…。
(2015年・カナダ・イギリス)
ゆったりとしたジャズじゃなくて、熱いジャズが垣間見えて素敵です。
ずっと哀愁が付きまとって離れなかったのは、
主演のイーサン・ホークの空気感が凄かったからかもしれません。
「吹けないのとヘタなのとどっちが残酷だ?」ってセリフにはやられました。
その感覚はどんな仕事にも、時には恋愛にも通じる大きな問題で、
それをどう克服していくのかが“その人”の力になるんだろうと思います。
クライマックスに向けての深いロマンティシズムに
思わず目頭が熱くなりました。
弱い人を強くするのも、強い人をより強くするのも、また強い人を弱くするのも、
「愛」あっての事だと思うと、何も言えなくなる深い想いを禁じ得ません。
ただ、やっぱりこういう時期の音楽にはお決まりのように
薬が介してしまうのは、ただただ哀しいですが。