くちびるに歌を
「離島に来た音楽教師」という似たような境遇の作品を見たので、
今週はその2つを紹介します。
今回は長崎県の五島列島に来た音楽教師のお話『くちびるに歌を』。
アンジェラ・アキさんの『手紙~拝啓 十五の君へ~』を題材にした
テレビドキュメントから着想を得た中田永一さんの小説の映画化作品。
産休を取ることになった親友の音楽教師ハルコの代理として、
生まれ故郷の五島列島にある中学の臨時教師となった柏木。
天賦の才能を持つピアニストとして活躍したうわさのある美女だが、
その性格はがさつで乗り回す車もボロいトラック。
住民たちの注目を浴びる中、彼女はコンクール出場を目標に
日々奮闘している合唱部の顧問に。
そして部員たちに、課題として15年後の自分に宛てた手紙を書かせる。
やがて、部員たちがつづった手紙から、
それぞれが抱える苦悩や秘密が浮き上がってくるが…。
(2014年・日本)
個人的にサトルとアキオ兄弟がとても好きで、
彼らの表情や仕草が一つ一つ響きました。
何かの結果には何かの原因があって、
それがいつだって複雑に絡み合ってしまうのが現実で。
先生や生徒、それぞれが背負った「理由」に思わず目頭が熱くなります。
キレイな心を汚すのも、キレイなままにするのも、
本当はちょっとしたきっかけ一つの問題なのかもしれない。
そういったきっかけが何か、その後の矢印をどこに向けるか。
それだけで人生は大きく変わるんだろうな、と思わされました。
思春期特有の色や思いがよく描かれていて、
自分の中学生時代を思い起こしてつい泣けてきました。
音楽、この作品では特にピアノの音色が持つ力って絶対的にあるし、
そういうものがある事、思いを繋げる事の素晴らしさを感じます。
大人が子どもに教える事は勿論沢山あるけど、
子どもが大人に教える事はそれ以上なのかもしれない。
また、長崎人の私としては、舞台が長崎っていうのがにくい所。
長崎公会堂とか…もう懐かしすぎてしょうがない。