幸せらしきもの

幸せらしきもの

小鳥の囀り　陽の光

花の彩り　頬を撫でる風

微笑む君が　遠い私

尊い君を　追う事すら虚しく

触れられない　幸せという感覚を

どうにかして　補おうとしている

口にする物　甘い辛い

湧き出る力　人それぞれの形

喜ぶ君が　遠い私

幸せとは　何かの代償の上にしか

ないものだと　思って生きてきた

目の前にある　幸せらしきものを

私は素直に　感じられないのです

話す言葉　新しい知識

触れる指先　冷たい温かい

眩しい君が　遠い私

鋭く突き刺して　鈍く責めてよ

痛みがあるから　生きていられる

無条件にある　幸せらしきものは

いつでも私を　追い込んでくるのです

本心や嘘　裸や飾り

君への笑みと　私への笑み

全ての君が　遠かった私

たやすく手に入るような幸せなど

あるわけないと　信じて生きてきた

そこに在る事が　ただ良いんだと

無条件に　顔を綻ばせる君は

そして時に　声を荒げて泣く君は

少しずつ　でも　確実に　私を

幸せらしきものに　近付けてくれている

そんな気が　しているのです