ユメウツツ
ユメウツツ
夢と現の燻りの中で
あの人笑った記憶が近い
私はどんな世界を生きている?
境界線を取り戻せない朝
一緒に過ごした日々は遠く
あの人は離れていくだけなのに
私はどうして夢に見たんだ
またいつかあるかのごとく
夢の中では満たされていた
あの人が笑っているそれだけで
私はそれを望んでいるのか
もう二度と訪れないのに
醒めてゆく夢の後に
あの人の夢にもしかすると
私もそうして出ることだって
あるんだろうかとふと夢に思う
あの時すぐそこにいたあの人が
笑いかけてくれたあの人が
名を呼んでくれたあの人が
傷付けていまったあの人が
現実が形を取り戻せば
二人はまた距離を保って
何もなかったことになるだろう
夢はまだ私の中にあるだけ
私の人生なのに
ただでさえ「こんなはずじゃなかった」と思う事は多いのに、このコロナ禍。
日常が「こんなはずじゃなかった」事だらけです。
この映画を観たのはちょっと前ですが、今だからこそ思える部分もあります。
自粛要請だし、映画も観る機会が増えるかなぁ。
新体操のオリンピック候補として目される金城瑞穂は、
日々練習を重ねてきたが、ある日脊髄梗塞を発症する。
半身不随になってしまい車椅子の生活を余儀なくされた彼女は、新体操を諦める。
絶望に打ちひしがれる中、ひょんなことから音楽の素晴らしさに気付き、
アコースティックギターを手に、自分を受け入れながら音楽の道を進んでいく。
(2017年・日本)
「何か一つ」はとても大事だけど、そうじゃない事も沢山ある。
大事だとか大事じゃないとか、そういう事をこだわらない部分で
「感じる」というそもそもの大切さ。
大人になれば、そして何かを失えば、
その他の何かに手を出す事すら怖くなる。
そういう沢山の事を含めて、抱き締めてくれる力が
音楽にはあると改めて感じさせてくれました。
(勿論それは音楽だけではないけど)
淳之介役の稲葉友さんの微妙な下手さも味があって良かった。
とてもいい声だし、本当はとても上手なんだろうな。
何が「大丈夫」でどこからが「安心だ」なのか。
どうやっても抗えない事と、もしかしたら抗えるかもしれない事。
言葉とイメージと感覚、表現…。
静かな印象の中に、強くて前向きなメッセージを感じた作品でした。
夢
夢
鳴りっぱなしの 非常ベル
誰もボタンの在処を探せずに
不安ばかりが 円を描く
既存の方法論を閉じ込めて
答えの出ない問題を突き付け
炎は蝋を 溶かしていく
よりどりみどりの選択肢が
ことごとく姿を消していく
どうすれば 笑えていたんだろう
夢が遠退いていくようだ
奪われた自由の後に残るのは
読みかけの本の栞が
突風の先に飛んでいった
前後左右を 見失う
嵐のもっと上に揺蕩う
雲はきっと 白いだろう
あなたが笑ってくれたら
それだけで 良かったんだ
眠りに就けば 夢を見る
夢の先には 明日がある
そうだ まだ失っていない
夢は 私の中に残っているんだ
夢は一度手を離れ
奪われた自由は 泣くために
裸の魂は 涙の後に
笑っていたんだと 知るために
そして眠って 夢を見る
夢の先には 明日が来る
そうか これは始まりで
夢が誰にも 訪れているんだ
あなたは泣いて そして笑う
そうやってまた 夢は続く
あなたがいれば 夢はある
そうやってまた 夢は繋ぐ