戦場のピアニスト
音楽映画、今週もピアニスト特集を続けます。
今回は『戦場のピアニスト』。
「ピアニスト」の物語ではありますが、
実際音楽のシーンはほとんど出てこず、
音楽映画と言うより、むしろ戦争映画です。
1940年、ドイツ占領下のポーランド。
ユダヤ系ピアニスト、シュピルマンは家族と共にゲットーへ移住。
やがてユダヤ人の収容所移送が始まり、
家族の中で彼だけが収容所行きを免れた。
食うや食わずの潜伏生活を送るある日、遂に1人のドイツ兵に見つかる。
(2002年・ポーランド)
私は、どこでどう記憶錯誤したのか、
印象を交錯していました。
今回改めてこの映画を観て、
もしかしたらその衝撃のあまり、
この映画の記憶を書き替えたかったのかのかも、とまで思いました。
それ程までに、この映画は衝撃的で、
無常で残酷で、悲しいと言うより色んな意味で酷い、
遣る瀬無さに溢れた作品です。
そういう事が実際に行われていた、と言う事が、
また更に観ている立場としては、
得も言えぬ感情に襲われます。
一つの戦争が作ったあまりに無残な事実を
一人のピアニストを通して知らせてくれています。
それは本当に、同じ人間として、
観ているだけで苦しくなる。
しかも、この作品は実話を元に作られたと言うのだから、
その思いもひとしおです。
幼少期をゲットーで過ごし、母を収容所で亡くした監督、
代役なしでピアノシーンも演じた体当たりの演技が印象的な
主演のエイドリアン・ブロディ。
とにかく、思うところ、感じるところが
あまりに沢山ある作品です。