4分間のピアニスト
暗いもの、重いものが苦手な人にはお勧めしません。
しばらくはピアニストメインで、とか言っておきながら、
実際自分自身が衝撃を受けました。
しかも初見じゃないのに…
と言う事で、今回は『4分間のピアニスト』。
人事的、法律的、政治的観点から、
もう本当に「それぞれの見方がある」としか言えない。
80歳のピアノ教師トラウデ・クリューガーは、
女性刑務所内で、殺人罪の判決を受けた21歳のジェニーと出会う。
ジェニーは天才ピアニストと騒がれた過去があったが、
道を踏み外し、刑務所内でもたびたび暴力を振るう問題児となっていた。
しかしジェニーの才能を見たトラウデは、
所長に頼み込んでジェニーとの特別レッスンを始めた。
(2006年・ドイツ)
先述したように、この作品を観たのは初めてじゃありません。
ただ、以前観た時には、まだそこまで衝撃を受けませんでした。
と言うのも、基本的に暗い映画は好んでいませんでしたし、
音楽映画ともなれば、晴れやかなイメージを持ってして観ていたから
あんまり集中して観ていなかったのかもしれません。
今回数年ぶりに観たこの作品は、以前とは全然違う印象を与え、
色々と考えさせられる、とても奥深い作品として映りました。
殺人犯にいくらピアノの才能があったとしても
最早それが日の目を見る事はないでしょう。
そういう事は分かっていながらも、
どこか釈然としない思いも一方には表れてきます。
色んな角度から物事を見れば見るほど、
簡単に一つの答えなんて導けるはずがない事を知るし、
その中の正しさを、ただ自分の中に見つけるだけです。
とにかく、複雑な思いが巡る作品です。
最後にトラウデがジェニーに過去の自分の話をする場面では、
その苦しさに涙が流れました。
「裸になる」ことで生まれる説得力は、
痛みを伴うものだと、そう感じさせられます。
と、まあ、暗くて重い作品ですが、
そういうのに興味がある方は是非観てみて下さい。