エレファント・ソング
今回も前回に続き、「音楽映画」と言うにはちょっと微妙な作品を。
題名からして音楽映画っぽい『エレファント・ソング』。
とにかく深い、そして重い作品でした。
謎の失踪を遂げた同僚を捜そうとする、精神科医のグリーン。
彼は同僚の姿を最後に見たという患者マイケルから、
詳しい話を聞くことにする。
象に異常な執着を見せる彼と対面し、
失踪事件を解決する手掛かりをつかもうとするグリーンだったが…。
(2015年・カナダ)
タイトルもそうですが、マイケルの母親がオペラ歌手だったという
あらすじの文章を読んでも、一見音楽映画だと思いました。
取調室と院長室、それぞれのやりとりのシーンが
独特な暗さを醸し出しながら進んでいきます。
正直、話を噛み砕いて観ないと追いつかない部分が結構ありました。
個人的に映画を観る時はあんまり前情報を入れないのですが、
この作品はある程度整理して臨んだ方が良かったと思いました。
その関係性や一つ一つの原因や結果など、
「ああ、こういう事だったのか」と理解すると
その世界観の深さにはまってしまいます。
「精神病者」を扱っているだけあって
とてもセンシティブな内容だとも思いますが、
彼が「精神病を患っているマイケル」ではなく
「マイケル」として接してほしいと訴える所は共感すら覚えました。
何より、そのマイケルを演じているグザヴィエ・ドランの表情が良い。
もう一度観るとまた全然違う印象を持ちそうな
奥の深さを感じる作品でした。