はじまりのボーイミーツガール
昨日に引き続き、最近個人的にヒットした音楽映画をご紹介。
今回はほろ苦くて甘酸っぱい作品『はじまりのボーイミーツガール』。
子どもじゃないし大人には遠い…。
そんな微妙な時期をよく描いている素敵な作品です。
12歳のヴィクトールにとって目下の悩みは、
妻に先立たれて以来落ち込んでいる父親のことだった。
彼はみんなの憧れで優等生のマリーのことが好きだったが、
劣等生の自分は彼女に相手にされるはずがないと思い込んでいた。
ある日、ヴィクトールはマリーの家に招待され…。
(2016年・フランス)
微妙な年頃の微妙な感情の起伏をよく表現した作品でした。
思春期特有の心の表現が絶妙で、その距離感にドキドキしてしまいます。
マリーとヴィクトールの表情も良く、世界観に引き込まれました。
そこに響くチェロの音色が哀愁を漂わせ尚良い。
どれだけ「本当は大事なこと」でも、
その大事ささえも残念ながら一律ではない。
特に子供からするとその降り幅は大きくて、
自分の「今が大事」こそが「一番大事」になる。
そんなマリーの気持ちが分かるからこそ、切なくなります。
結果的にはその「今が一番大事」こそが「生きる」事なのかもしれません。
自分で見えるものと見えないもの、見ようとしないもの。
そのバランスをよく描いているなぁと感じました。
目が見えていようと見えていまいと、
「見よう」とするだけで「見える」ものは
きっと増えるんだろうとも思います。
「何か」が小さな波を作って、意図していなかったものを変えていく。
小さくて大きい、それこそが個々であり人であるんでしょう。
真っ直ぐな愛の大きさを感じました。
音楽シーンはあんまりなかったけど、
最後のシーンだけでも満足するくらいでした。