ブラス!
前回はオーケストラをテーマにした映画を紹介しましたが、
1917年に炭坑夫の余暇活動として結成されたバンド、
グライムソープ・コリアリー・バンドの実話をヒントに映画化。
炭坑閉鎖に揺れる街。人々は生きる希望を失いかけていた。
そんな時、彼らに勇気と希望を与えてくれたのが音楽だった。
炭坑夫の仲間たちで結成された伝統あるバンドは、
街と自分たちの誇りを賭けて全英大会に出場し、
決勝大会が開催されるロイヤル・アルバートホールを目指す。
(1996年・イギリス)
いつの時代でも、その時代の移り変わりとともに職を失う事はあります。
それは仕方のない事だし、いくら逆らったところで時の流れには抗えません。
でも、その中で精一杯生きていた人が、
その恩恵によって幸せに生きていた人がいる、
という事実もまた覆しようのない事実です。
バンドに属していた人達もそれぞれに家庭や生活があり、
その中での幸せを営んできたのに、
職を失われるという大きな出来事によってその状況が一転していく。
その中で考えさせられる事はとても多いものです。
特に、登場人物の一人であるフィルの状況には
遣る瀬なさを感じさせられました。
情勢が目まぐるしく変化していく今だからこそ、
それを単なる過去の出来事の一つとして観るだけではなく、
現代にも投影される事があるのではないかと思いました。
それぞれの思いを抱えて演奏する“Danny Boy”。
ここでもフィルの表情がかなり効いてます。
若かりし頃のユアン・マクレガーも新鮮でした。