偉大なるマルグリット
今回は伝説の音痴といわれた実在のソプラノ歌手
「フローレンス・フォスター・ジェンキンス」の歌声に
インスパイアされて作られた作品『偉大なるマルグリット』。
“伝説の音痴”だなんて、そんな伝説があってたまるか、
と思ったりもしますが…。
1920年、パリから少し離れた貴族宅で開催される
サロン音楽会を訪れた新聞記者のボーモンは、
あまりに音痴なマルグリットの歌声に開いた口がふさがらなかった。
しかしボーモンは野心から彼女を絶賛する記事を書き、
パリの音楽会に出演者として招待する。
これを機に、観客に自らの歌を披露する楽しさにはまったマルグリットは、
自分が音痴であるとも知らず有名歌手からレッスンを受け…。
(2015年・フランス)
何と言うか、コメディではあるんだけど、
野放しには笑えないような複雑な気分になってしまいました。
音痴って、実際自分では気付かない人は多いけど、
客観性とはいつどうやって身に付くのか、
そういう事も色々と思い巡らせました。
(でも、訓練で改善できる部分も当然あります)
相手を傷つけないように閉じ込めてしまうのは、
時としてとても残酷な事なのだと思います。
優しさに見えて、それは優しさではなかったり。
でも、幻想の中で生き続けられるのなら、
それが幸せな事もあるかもしれない、とか、
ちょっと感想が堂々巡りしてしまいます。
主演のカトリーヌ・フロの表情や演技が
とても魅力的でした(音痴を演じるのも難しいでしょうに)。