ロケットマン
今回の音楽映画はエルトン・ジョンの半生を描いた伝記映画『ロケットマン』。
公開当初から気になってはいたんですが、思ったほど話題に上っていなかった感じがしたのはタイミングもあったのかもしれません。
あまり評価を聞いてなかったし、その分期待値も低かったんですが、意外にとても良かったです。
少年レジナルド・ドワイトは、両親が不仲で孤独だったが、音楽の才能に恵まれていた。
エルトン・ジョンという新たな名前で音楽活動を始めた彼は、バーニー・トーピンと運命的な出会いを果たし、
二人で作った「Your Song/ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」などヒットナンバーを次々と世に送り出して世界的な名声を得ることになる。
(2019年・イギリス・アメリカ)
QUEENの『ボヘミアン・ラプソディ』のヒットに隠れてしまったという印象もありますし、先述したようにあまり話題を聞かなかったので評価も低いのかなぁと思っていたら予想に反してとても良かったです。
私の中で「伝記映画」というのは、基本的にその人が亡くなってから他人の手によって作られるものという考えがあったので、生前に製作する事に違和感がありました。
だからこそ、全編観終わった後に「何故生前に作りたいと思ったのか」も感じる所があり、また新たな価値観を生み出してくれました。
どんなに華やかな成り振りをしていても、その内に巣くう闇は計り知れません。
音楽の伝記映画を見ると、海外アーティストの場合ドラッグとセックス・アルコールは引っ付いてきます。
それを何故必要とするのかも想像に難くありませんが、それはいつも芋づる式に闇の世界の深さを垣間見せます。
人の悩みと言うのは、基本的には過去の記憶が結びついていて、解決出来ない問題はどうしても切り離せない過去があるから。
この映画の中では大人のエルトンと子供のエルトンが登場してきますが、小さい時に許されなかった痛みがどんなに辛いものなのかを改めて感じます。
演出が少々行き過ぎている場面もありますが、そこがエルトンらしさだとも思いました。
エルトン・ジョンの音楽はベスト盤を聴いていた位であまり知りませんでしたが、そのヒット曲もこうして体験と結び付けて流れると、また違うイメージを抱くのも面白かったです。
『Goodbye Yellow Brick Road』はカバーした事があり、それがクライマックスにかけて演奏される場面がとても印象的です。
俳優陣も素晴らしかったし、見応えのある音楽映画でした。