伴奏者
今週は昨日に引き続き、オペラに関係する映画『伴奏者』です。
タイトルからしてピアニストが主人公なのですが、
音楽的にはピアノより歌の方がメインです。
世界的なプリマ、イレーヌの専属ピアニストになった少女ソフィは、
美しく奔放な彼女にあこがれる一方、憎んでもいた。
常にスポットライトを浴びるのは当然、と傲慢な所もある女だったが、
事業家の夫は溢れるばかりの愛をイレーヌに注いでいた。
やがてナチの台頭凄まじく、対独協力者に見えた彼はカバン一つで、
妻とソフィを連れロンドンに渡る。
しかし、そこでイレーヌを待ち受けたのは、
若く魅力的な愛人ジャックだった。
(1992年・フランス)
きれいな旋律、ピアノと歌声のハーモニーは聴いているだけで
心が洗われるような気分にもなる聴き応え。
全体的に、要所要所で音楽をちゃんと聴かせてくれます。
絶対的な憧れの上に、愛を感じると同時に憎しみをも持ってしまう
その複雑で多感な気持ちに共感さえ覚えます。
少女の感情の起伏を静かだけれども生々しく表現していました。
また、それぞれの役者さんの表情が秀逸です。
イレーヌの美しさとソフィのあどけなさ。
その相反する二つの魅力がお互いを引き立てている感じがしました。
それと同時に、映し出される幸せと孤独のギャップが
尚更その情景を浮き彫りにしていて深い余韻が残った作品でした。